無題ドキュメント 77
同じ夢
「・・・嫌な・・・・夢・・・」
「ユネ?大丈夫か?」
「・・・・起きてた?・・・・」
「わりい!ビックリさせたか?眠れなくてな、シッカも下に行っちまうし。何か・・・こう、夢見が悪いつうかさ」
「・・・・夢・・・見?・・・・」
「ああガキの頃からちょくちょく見る嫌な夢だ。最近はあまり見なくなってたんだけどな」
「・・・・嫌な・・・・夢?・・・」
「熱くて、苦しくて、息が出来ない。必死になって目の前の女の人に助けを求めるんだけど・・・」
「・・・・女の人?・・・・」
「動かねえんだよその人。泣いてんのかなんだか知らねえけどさ。ゆね、お前は?お前も嫌な夢、見たんだろ?」
「・・・・悲しい・・・夢・・・・」
「悲しいのか?何が?」
「・・・・同じ・・・琥珀と・・・・」
           
「同じって、俺のは悲しくないぜ?」
「・・・・熱くて・・・・苦しくて・・・自分は多分・・・物凄い子供で・・・もう1人・・・側に・・・・」
「もう1人って女の人とは違うのか?」
「・・・・違う・・・男の子・・・・・・・泣き叫んでる」
「それって、同じ夢なんじゃないか?俺達、同じ夢を見てるような気がする。ユネ、お前はいつからその夢を見てるんだ?」
「・・・子供の頃?・・・ずっと繰り返し・・・・その続きを見るのが・・・・怖くて・・・・寝ない日も・・・・」
湧泉音は窓の外にいるもよこを見つめて手招きした。
「おい。ユネ・・・・アイツ」
「・・・もよこ・・・入って・・・・いいよ」
「イヤ、そいつ、暑苦しいし。まあいいけどお前を心配してるみたいだし」
「・・・うん・・・気にして・・・くれてる」
「だけどあれだぞ、もよこお前さあ、窓に顔くっつけてジッと覗き込むのはやめろよ。怖いぞ!逆に」
「・・・・傷つき・・・やすいのに・・・もよこは」
     
「冬はなあ、純毛100%だからいいけど、ああでも上は冷たくて気持ちいいよな。顔だけよこせ!こっちに!!」
「・・・嫌がってる・・・・・」
「ウッセえつべこべ言うな」
「・・・もよこ・・・口は悪いけど・・・琥珀・・・本当は・・・やさしい・・・・奴・・・・」
「ああ何だって?」
「・・・・いや・・・べつに・・・・」
「ふん。こうやって2段ベッドなんかに寝てるから、同じような夢を見るのかもしれねえな。シンクロか?これも」
「・・・・でも・・・いい感じ・・・・」
「そうだなこんな狭い所に寝ると、何かガキに戻ったようなちょっと安心するつうかさ」
「・・・・安心で・・・安全・・・温かい」
「ああ?温かいって暑いの間違いじゃねえの?それとも気持ちのことか?」
「・・・・気持ち・・・・うん・・・・心・・・・」
「心が温かいか」