マーマレード日和 |
悪夢にうなされると思い切り脳が疲れたまま起きる。せっかくの睡眠がこれでは台無しだ。 そんな朝は特効薬のシナモントーストに限る。 普通ならたっぷりグラニュー糖をかけて、シナモンをドッサリと行きたい所だけれど、我慢、我慢。 振りかける面積はトーストの三分の一・・・・未満。 まずゴツゴツとしたグラニュー糖の歯ざわりとその後から来るニッケの香りを堪能し、雨上がりの秋の高原のようにしっとりと艶やかなマーガリン地帯に舌の至福を感じ、おもむろにマーマレードの入った瓶を冷蔵庫から取り出す。 大瓶で買ったそれを一回りずつ小さい瓶に移し、今朝はフィナーレの儀式へといざなうトーストの食祭。 その達成感ときたら・・・・・ しばらくは、マーガリンとピーナッツバターのクランチタイプと言う2種類の選択にシナモンが加わり、この濃厚なハーモニーが脳細胞に活気を与え、創作意欲を掻きたててくれるように・・・ 春・3月マーマレードの誘惑にいそいそと身を焦がすその日まで。 分厚く切ったトーストの面積がシナモン色に変わったと思えば、その上にキラキラとグラニュー糖が霜のように降り注いでいく。 初めは見ているこっちの口の中が甘く溶けてしまいそうで、思わずコーヒーを2杯も飲んでしまったのだけれど、1週間も見続けているとそれが当たり前になるから恐ろしい。 でも、見ているうちに気が付いたことがある。 湧泉音が唇を茶色に染めながらシナモントーストを頬張る朝は、決まって夢見が悪かった時だ。 二段ベッドの下で寝ているとそれが手に取る様にわかる。 まあ、深くは聞かないけれどね。 |