無題ドキュメント 45
マーマレード日和
悪夢にうなされると思い切り脳が疲れたまま起きる。せっかくの睡眠がこれでは台無しだ。
そんな朝は特効薬のシナモントーストに限る。
普通ならたっぷりグラニュー糖をかけて、シナモンをドッサリと行きたい所だけれど、我慢、我慢。
振りかける面積はトーストの三分の一・・・・未満。
まずゴツゴツとしたグラニュー糖の歯ざわりとその後から来るニッケの香りを堪能し、雨上がりの秋の高原のようにしっとりと艶やかなマーガリン地帯に舌の至福を感じ、おもむろにマーマレードの入った瓶を冷蔵庫から取り出す。
大瓶で買ったそれを一回りずつ小さい瓶に移し、今朝はフィナーレの儀式へといざなうトーストの食祭。
その達成感ときたら・・・・・ 
              
しばらくは、マーガリンとピーナッツバターのクランチタイプと言う2種類の選択にシナモンが加わり、この濃厚なハーモニーが脳細胞に活気を与え、創作意欲を掻きたててくれるように・・・
春・3月マーマレードの誘惑にいそいそと身を焦がすその日まで。


分厚く切ったトーストの面積がシナモン色に変わったと思えば、その上にキラキラとグラニュー糖が霜のように降り注いでいく。
初めは見ているこっちの口の中が甘く溶けてしまいそうで、思わずコーヒーを2杯も飲んでしまったのだけれど、1週間も見続けているとそれが当たり前になるから恐ろしい。
でも、見ているうちに気が付いたことがある。
湧泉音が唇を茶色に染めながらシナモントーストを頬張る朝は、決まって夢見が悪かった時だ。
二段ベッドの下で寝ているとそれが手に取る様にわかる。
まあ、深くは聞かないけれどね。