三つ子みたいに |
今朝もまた、たっぷりのシナモンにたっぷりのグラニュー糖をまぶして、口の回りを茶色に染めている湧泉音。 「・・・・・どうしたの?・・・」 「飽きるってことを知らないんだね。ゆねは」 「・・・・何が?・・・」 「いえ。一つのことをとことん極めようとする貴方は立派だと思います」 「・・・・ありがとう?・・・」 早くて明日。 遅くとも明後日には2人だけのこの静かな朝の一時が終わる。 琥珀がこちらに来ると解ってから、大急ぎで部屋を片付け、来客用の布団を実家に取りに行き、二段ベッドの下に備えた。 琥珀までもが来ると聞いて、パパもママも笑いはしたものの、さして驚きはしない。 ・・・・三つ子みたいなものだから。 とママは静かに言った。 親同志の間ではすでに了承済みで、ドイツに里帰り中の琥珀のパパとママから国際電話はかかるし、湧泉音パパにいたっては、温泉巡りのついでに琥珀に会いに来ると言う。 普通、実の子供に会いに来るものではないかと思うのだが、その話をしても湧泉音の反応は鈍い。 せっかく美大に進んだものの、休みがちな湧泉音にパパの思いは複雑なのかもしれない。 「ゆね。パパと上手くいってないの?」 「・・・・・別に・・・・」 ゆねったら。本当に自分のパパのことになると素っ気ない。 それでなくてもだんまりなのが余計に悪化するみたいだ。 かと言ってパパとの間が険悪と言う訳ではないんだよね? 多分・・・・・・ |