無題ドキュメント 51
三つ子みたいに
今朝もまた、たっぷりのシナモンにたっぷりのグラニュー糖をまぶして、口の回りを茶色に染めている湧泉音。
「・・・・・どうしたの?・・・」
「飽きるってことを知らないんだね。ゆねは」
「・・・・何が?・・・」
「いえ。一つのことをとことん極めようとする貴方は立派だと思います」
「・・・・ありがとう?・・・」
                            
早くて明日。
遅くとも明後日には2人だけのこの静かな朝の一時が終わる。
琥珀がこちらに来ると解ってから、大急ぎで部屋を片付け、来客用の布団を実家に取りに行き、二段ベッドの下に備えた。
琥珀までもが来ると聞いて、パパもママも笑いはしたものの、さして驚きはしない。
・・・・三つ子みたいなものだから。
とママは静かに言った。
親同志の間ではすでに了承済みで、ドイツに里帰り中の琥珀のパパとママから国際電話はかかるし、湧泉音パパにいたっては、温泉巡りのついでに琥珀に会いに来ると言う。
普通、実の子供に会いに来るものではないかと思うのだが、その話をしても湧泉音の反応は鈍い。
せっかく美大に進んだものの、休みがちな湧泉音にパパの思いは複雑なのかもしれない。
「ゆね。パパと上手くいってないの?」
「・・・・・別に・・・・」
ゆねったら。本当に自分のパパのことになると素っ気ない。
それでなくてもだんまりなのが余計に悪化するみたいだ。
かと言ってパパとの間が険悪と言う訳ではないんだよね?
多分・・・・・・